キンケシ塗装前の下処理方法|煮沸・ベンジンで可塑剤を抜いて水性塗装に備える#1269
キンケシを水性アクリル塗料で筆塗りする前に重要なのが、素体の下処理です。今回は、煮沸による洗浄・クセ取り、ベンジン漬けによる可塑剤抜き、そしてつや消しスプレーによる下地作りまで、キンケシ塗装前に行っている3つの工程を紹介します。
キンケシ塗装では「塗る前の下準備」が重要です
キンケシは軟質素材で作られているため、そのまま水性アクリル塗料を塗ると、時間が経ってから塗膜にべたつきやテカリが出てしまうことがあります。
特に重要なのが、素材に含まれている可塑剤の処理です。
今回は、これから塗装するキンケシを題材に、
- 煮沸による洗浄・形状調整
- ベンジン漬けによる可塑剤抜き
- つや消しスプレーによる下地作り
という3つの工程で塗装前の下処理を行いました。
今回塗装するキンケシ
今回の題材は、ガシャポンで展開されたキンケシのワザケシとメモケシです。
ワザケシでは、キンケシ02のモンゴルマン&バッファローマンによる「ロングホーントレイン」、キンケシ24のバッファローマン&スプリングマン「デビルエキスパンダー」、キンケシ20のネプチューンマン&ケンダマン「クォーラルスペシャル」などを用意しました。
さらに、キン肉マングレート&アシュラマンの「キン肉バスター」、悪魔将軍の「地獄の断頭台」、ネメシス&ロビンマスクの「ネメシスドライバー」、ネプチューンマン&ビッグ・ザ・武道の「クロスボンバー」、ラーメンマン&バイクマンの「九龍城落地」など、特徴的なポーズのワザケシもあります。
メモケシからは、キン肉マン&ロビンマスク、キン肉マン&テリーマンなどを使用します。
まずは自立できるかをチェック
下処理を始める前に、すべてのキンケシが自立できるか確認します。
ワザケシは技を再現した特殊なポーズになっているものが多いため、最初から自立が難しいものもあります。
煮沸によってある程度形状を整えることはできますが、すべてを完全に自立させるのは難しいため、最終的には台座やプラスチック粘土、接着剤などを活用して固定することも考えて仕上げていきます。
今回の中では、クォーラルスペシャル、地獄の断頭台、ネメシスドライバー、クロスボンバー、九龍城落地、そしてメモケシの一部は比較的しっかり自立できました。
工程① 煮沸してキンケシを洗浄・整形する
最初は煮沸です。
小さめのフライパンに水を入れて加熱し、十分に温めたところでキンケシを投入します。
この工程には、
- 表面のホコリや油分を落とす
- 熱によって素材を柔らかくする
- 曲がりやクセを整える
- 必要に応じて自立しやすい形に調整する
といった目的があります。
煮沸時間は長時間必要ではなく、今回の作業では2~3分程度を目安にしています。
形状によってお湯にしっかり浸からない部分がある場合は、ピンセットなどで位置を動かしながら熱を加えます。
煮沸が終わったらキンケシを取り出し、次の工程に進む前に十分に乾燥させて水分を飛ばします。
工程② ベンジン漬けで可塑剤を抜く
キンケシを塗装するうえで、今回もっとも重要と考えているのが可塑剤抜きです。
ベンジンは油性のシミ抜きや油汚れの除去などに使われる薬剤です。今回は円筒状のPET容器にベンジンを入れ、煮沸・乾燥させたキンケシを漬け込みます。
ベンジンは刺激臭があり、揮発性も高いため、作業時には十分な換気を行い、手袋・保護メガネ・マスクなどを使用して安全に作業することが重要です。
キンケシがしっかり浸かる量のベンジンを入れ、容器を密閉してしばらく置いておきます。
今回のようなワザケシサイズであれば、まずは一晩程度を目安に状態を確認しています。
容器の蓋だけでは隙間からベンジンが蒸発してしまうことがあるため、今回はラップをかぶせてゴムで固定する方法を使っています。
可塑剤を抜くとキンケシが硬質化します
ベンジン漬けが終わったキンケシを取り出すと、素材の感触が大きく変化しています。
軟らかかった素体が硬くなり、いわゆる「消しゴムフィギュア」らしい軟質感がかなり失われています。
これは、素材を柔らかくするために含まれていた可塑剤が抜けたためです。
可塑剤が残った状態で水性アクリル塗料を塗ると、時間の経過とともに塗膜へ影響し、べたつきやテカリが発生する場合があります。
そのため、筆塗りで長くきれいな状態を保ちたい場合には、塗装前に可塑剤をできるだけ処理しておくことが重要だと考えています。
ベンジンは再利用も可能
一度使用したベンジンは、状態を見ながら2~3回程度再利用しています。
ただし、ベンジンには抜き出した可塑剤などが溶け込んでいくため、何度も使い続けるのではなく、状態を確認しながら新しいものへ交換します。
なお、キンケシの種類や素材、製造時期によって使用されている材料は異なる可能性があります。そのため、すべてのキンケシが同じ結果になるとは限らない点には注意が必要です。
工程③ つや消しスプレーで塗装用の下地を作る
ベンジン漬けが終わったキンケシは、しっかり乾燥させます。
その後、Mr.スーパークリア つや消しを全体に吹き付けて、水性アクリル塗料を筆塗りするための下地を作ります。
つや消しの表面にすることで、塗料が乗りやすい状態を作り、筆塗りによる塗装作業へつなげていきます。
これで、煮沸→可塑剤抜き→下地作りという、キンケシ塗装前の基本的な下処理が完了です。
可塑剤を抜くとサイズも変化します
注意したいのが、可塑剤を抜くことでキンケシのサイズ感にも変化が出ることです。
可塑剤が抜けた分だけ、素体は一回り小さくなったように感じられることがあります。
特にワザケシの場合は、複数のパーツが組み合わさった状態で造形されているため、可塑剤抜きによって噛み合わせが悪くなったり、ポーズが不安定になったりすることもあります。
そのため、最終的には接着剤で固定したり、台座を製作したりしながら完成を目指します。
まとめ|キンケシ塗装は下処理から始まります
今回は、キンケシを水性アクリル塗料で筆塗りする前の下準備として、煮沸・ベンジン漬け・つや消しスプレーによる下地作りの3工程を紹介しました。
キンケシはそのまま塗るのではなく、素材の特性を考えて下処理をしておくことで、塗装後の仕上がりや塗膜の状態を維持しやすくなります。
特に可塑剤の処理は、キンケシ塗装において重要なポイントです。
これから今回のキンケシたちを一体ずつ筆塗りで仕上げていきます。
懐かしいキンケシを、現在の水性アクリル塗料でどこまでカッコよく仕上げられるのか。塗装工程も引き続き紹介していきます。